今回番外編として、実際に「文章力」で提案した方法でカードを作ってみたい。
実際に文章を書く側にまわると、125文字を埋めるのも難しいことに気づく。
まずはカード解説を書けるようになってみたい。
最初に、
文章を書いたことのない人は、とにかく不要な改行をしないようにする。
文章力その一で説明したように、この書式なら改行はおろか、行頭開けも不要だ。文章が読みづらいと感じたなら、文章そのものに問題があるか、自分が読めているのに相手に伝わる自信がないか、そのどちらかだ。
文章に対する自信のなさは、おかしな文法を創作する。
よく見るのがテンで改行したり、
行の文字数が余っているのに
言葉の節目で改行してしまうような書き方だ。
これらはまったく無意味ではないものの、文法をメチャクチャにして代わりに読みやすくなるほどのものではない。見た目にも考えているほど綺麗にはならない。行き場のない意識が代償を求めているだけだ。
他のカードで改行を使わず書いてあるものがあり、ちゃんと読めているのだから、それ以下のおかしな文法を使う理由はないはずだ。
ありがたいことに、カード解説は書くことが決まっている。
その二で説明したように
「使うに当たって、必須の情報」があり、これを埋めれば125文字は半分以上、消化できる。
必須の情報はどういう順番で書くべきだろうか。まず
使い手にとって重要な情報から書くのがベターだ。周囲のカードとの兼ね合いも考えると、交易都市リューンの書式を踏襲するのが無難だろう。
つまり、順番としては
(技能レベル)
カードの種類(呪文、技、道具)
具体的なカードの効果
上記の補足
(カードの適性)
である。
これらは書く順番を入れ替えてもかまわない。が、無理がないのは上記だろう。
余所のスキルと合わせることも考えると、大幅な改変は避けた方がいい。 書くときに
「具体的なカードの効果」は絶対に忘れないようにしたい。ここがカード解説の主軸である。びっくりするほど
効果のあやふやなカードが今日まで途切れることなく、
うんざりするほどある。
遅れたが、今回作るカードは
以前に解説した「ダメージを抜いた回避力変化-5のスキル」……のつもりだった。
が、思い違いで
「防御力-5」のスキルになってしまった。まあさしたる違いもないので、あしからず。
では具体的にカード解説を埋めてみよう。
まず技能レベルは3にする。
カードの種類は(呪文)だ。魔法使い系のスキルにする。
具体的な効果は「敵一体に防御ペナルティ(中)を5ターン与える」
補足として色々書きたいが、文字数の関係がある。
他の(呪文)スキルと共通する部分は改めて書く必要はない。つまり魔法属性、抵抗属性、発声による発動などは省いていいだろう。今回、成功率修正値を-2するので、これを書くのみとしたい。
カードの適性は知力&狡猾性にする。ここでも共通する部分は書かなくていい。リューンの「賢者の塔」のカードはすべて「知力」メインだから、これが魔法使い系の呪文であることを含ませておけば、あとは精神的特徴の方だけ書いておけばいいわけだ。
みたいにね。
さて、実際に流し込んでみると
最低限の情報を書いただけで半分は埋まってしまった。
この順番を守ったまま、後は肉付けすればいい。
最後の行で変な改行をしているが、これは禁則処理に反しているため、エディタの側で自動改行している。このように実際に書いた文章と異なる表示になる場合もあるので、テストプレイの際にざっと確認しておきたい。
では肉付け。
防御力を下げるのだから、装甲を柔らかくする、とでも書いておこう。以前に説明したように、具体的な効果がわかる方が望ましい。防御力-5はちょうど
半分。
成功率修正値-2の技が他にもあったはずだ。言葉を移植してみよう。
狡猾な魔法使いをどう表現するか? 明るいイメージがないのは確かだ。
どうだろう、実用には十分だと思われる。
このように文章にさほど意識がなくても、必要な情報を埋めるだけでカード解説は出来てしまう。
「いかに書くかではなく、何を書くか」だ
ひとつ工夫があるなら「一時的に」という言葉だ。これは不要な一語。なぜなら永続的に防御力を下げるスキルカードは存在しないから。
この工夫は改行の位置を気にする方への回答となっている。
もうひとつ作ってみよう。
今年話題になっている(? 防御系アクションのアイテムカードだ。
私は同じようなカードを作るなら、使用回数は一回限りにする。無限に使えたり、何十回も使えたりすると、ランダムに巡ってくる本来のアクションカードは不要になってしまう。死に札なのだ。
これが一回かぎりなら(以前から書いているように)「ランダムスロットを潰す代わりに手札を固定できる」という関係性が明快になるからである。
値段は100spにしよう。ちょっと高く感じるかもしれない
(感じるだけで、値段は適正だと考えている)。だから使った分だけ払ってもらおう。内部データは200spにして、店では100spで販売する。つまり使わなかった分を売っても損はないわけだ。
最初の例と違い、こちらはガッツリ手の入った文章となっている。
ここまでする必要はないと思う。別にリソースを割きたい。 ピーキーな例でなければ、
スキルを作る前に その1「属性攻撃」 で公開した「酸の噴射」も挙げておきたい。
これなどは必要な情報を衒いなく処理している例である。
つまるところ、文章法さえ守ればこれだけ詰まった書式で目一杯文字を書いても、理解しやすい文章になるということ。
日本語の文章法は確立されている。
知識で補える部分なのだから、創作を機会として勉強してみるのは悪くないと思う。