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批評

戦略世代のゲームバランス

本文なし
 とあるシナリオをプレイしていると、なんだか妙に戦略的な戦闘をすることになった。
 ゲームバランスに関して、基本的な事を書いておこうかと思う。


 アイテムカードのメリット、デメリット。

 アイテムカードは便利だ。基本アトランダムに配られてくるアクションカードに混じって、確実に選択できる。しかし、スロットをひとつ潰してしまう。
 では考えてみよう。魔法の剣を作る。レベル比2ダメージ。命中補正プラスマイナス0。使用回数無限、魔法的物理属性で、実体の無い相手も切れる……
 普通に反則アイテムだ。相手に与えるダメージは攻撃カードと同じだが、攻撃カードでは実体の無い相手は切れない。攻撃カードの意味がなくなってしまう。
 「いや、それは言い過ぎだ。攻撃カードは頻繁に巡ってくるし、幽霊も切れない魔法の剣なんて意味が無い」

 では例を変えよう。冒険者が状態異常になる。たとえば恐慌状態。攻撃系のアクションカードは巡ってこなくなるから、攻撃できなくなる。
 しかしアイテムカードは関係がない。常に手札に存在するから、本来は攻撃行動のできない冒険者が、ダメージを与えられることになる。
 さらに例をかえて、1レベルの冒険者が混乱カードを3枚配られたとする。戦闘中のカードスロットは4枚だから、事実上、有効なカードは1枚だ。
 では、同じ冒険者で、アイテムの魔法の剣、傷薬、解毒剤と持っていたらどうだろう? スロットは同じく4枚で、アイテムカードは確実に手札に存在するから、事実上、回転するカードは1枚しかなくなる。
 混乱カードは1枚しか巡ってこない上、攻撃、回復、解毒の選択肢が常に存在するという、非常に有利な状態を作ることができる。
 以上の例を見て分かる通り、アイテムカードというのは強力だ、先程の例だと、傷薬と解毒剤は、1回しか使えないというデメリットがあるが……



 複数回使える店アイテムは反則

 よく見るのが「傷薬パック」。複数回使用出来る回復アイテムだ、これと同じような効果のアイテムはそこら中に転がっている。
 見方を変えよう。何回も使える傷薬という認識を改め、傷薬の効果はそのまま、回数の分だけスロットを開けてくれる戦闘力強化アイテムなのだと。
 さらに困ったことに、このゲームは回復アイテムで、行動不能になった冒険者を復帰させることが出来る。復帰させられればカードも選択できるし、順番にもよるが、ほかの冒険者のサポートで元の状態まで復調できることもザラにある。
 固定1点回復の10回使えるクッキーが、バーティメンバーの命を10回救うこともありうるわけだ。
 くり返し言うが、アイテムは手札に必ず存在する。

 確実な選択と効果と言うのは、アトランダムなカードゲームにおいて、非常に強力な持ち札だということだ。スロットをひとつ潰すというデメリットを活かしたいなら、1回限りの使用回数にしたい
 交易都市リューンをエディタで開いて、複数回使えるアイテムがいくつ存在するか、数えてみるといいだろう。
 1個300spもする傷薬の値段を見て、バランスを考えるのは悪くない。


 
 報酬とアイテム

 簡潔に言おう。報酬1000spが適性のシナリオで、1000spを与える。「癒身の法」をシナリオで2枚配った。
 合計の報酬はいくらだろうか?

 つまらない計算をする必要はないが、たとえば報酬をそのままに、オリジナルの技能を与えたい時、値段を設定する必要はないということだ。店売りでないのならば、0spのままでいいのである。
 いまだに過剰な報酬を与えるシナリオは存在する。



 アイテムの適正な値段

 店で売っているアイテムというのは、基本、いつでも買えて、いくつでも買える。お金がある限りだが。
 全体回復アイテムを作りたい。傷薬と同じ回復量で、値段はパーティ人数をかけた300×6……1800spにしようかと思ったけど、これじゃあ便利すぎるから、10倍の3000spにした。
 適正だろうか? いいや。
 便利さに対する投資というのはリスキーでなくてはならない。便利なアイテムを常用できてしまうと、結局はバランスを崩す。

 確実なリターンがあるとわかっている商品を納得づくで買うなら、どんなに高額でも損ではない。
 店物アイテムの適正価格というのは、使う段階になって払った金額がちらつくようになって適正である。思わずクリックをためらい、状況を再確認してしまうような、身を切る思いがあって妥当だ。
 先ほどの傷薬の値段を、さらに3倍近くして1万spにする。高すぎるし、効果にも見合わない。でも確実に手に入る。使えばちゃんと効果が出るし、何より安くない。最後の最後で頭をよぎる選択肢にはなる。本当に必要な冒険者は買うだろう。どんなに高額でも。

 オリジナルの便利なアイテムを出したいなら、素直に冒険の報酬として出すべきだ。
 もったいぶって、うやうやしく、報酬の代わりに一つだけ、便利なアイテムを与えたらいい。そして二度と手に入れる機会を作ってはならない。金余りであらゆる商品が手に入るこのゲームにおいて、一つの理想ではある。


 召喚獣は「おまけ」

 これくらいの認識で考えたほうがいい。呪縛状態で発動する解除の召喚獣があって、誰がアトランダムな「呪縛解除」を使うのか。
 レベル7の「練気弾」は、固定10ダメージの気弾を召喚獣スロットに3つ配布する。レベル7~10でスロットを全部潰し、ようやく3つだ。
 効果にもよるが、召喚獣もセットしておけば、確実に発動するものだ。カードのアトランダム性は関係がない。召喚獣は冒険者の手数を増やすものではないのだから、あくまでもプラスアルファな性能に止めておいたほうがいい。
 効果を作る時、相当に抑制したくらいのバランスで考えたい。



 「成功率修正値」で調整するな


 ダメージをレベル比1点あげる代わりに、成功率修正値を2点下げました。
 ……その技能は確かに当たりづらいのかもしれないが、ほかの手段で、相手の回避や抵抗を下げる方法が、それも非常に当たりやすい技かもしれない……存在する。
 同じような例として、効果時間を減らすというものがあるが、このゲームの戦闘で10ターンを超える事態は多くなく、しかも、眠り、麻痺といった効果は致死につながる。
 安易な調整の最たるものだ。もっといろいろなリスクを付加したい。



 数値を隠蔽する、ということは、ルールを隠蔽するという事ではない。
 ルールもわからないのにゲームをする奴などいないし、ましてや胴元など引き受けないだろう。
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