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批評

カードワースの環境

本文なし

この記事に興味を持たれた方は、合わせて
「CardWirthの批評」とは何だったのか
もおすすめしたい。


 カードワースだけの「評価」

カードワースというフリーゲームは、それなりに有名になった。
しかし、それはあくまでも「カードワース」というパッケージで評価されている。
裏を返せば、個々の作者、制作されたシナリオは、カードワースの枠を超えて語られることはない。
なぜだろうか?

ヒットした目安として、動画サイトに取り上げられる事を考えてみたい。
魅力あるフリーゲームは、動画サイトでも引っ張りだこだ。「洞窟物語」「青鬼」「ゆめにっき」などの正統派はもちろんのこと。変わり種として「他人の作ったRPGツクールを実況」なんてモノがある。

この他人ツクール実況、中古のRPGツクールを大量に買ってきて、残っているデータをプレイするという企画なのだが・・・・・・
ツクールを買った人ならわかるだろう。そう、作品のほとんどは未完成のままである。
それどころか、ゲームとしての体裁をなしていないモノも大量にあるのだ。

しかし、動画にすると、これが非常に面白い。
徹底的にくだらなく、メチャクチャな内容なのに、思わず見入ってしまう。

ひるがえって、Cardwirthを見てみたい。
このゲームには、ツクール動画との共通点がある。匿名の作者が作った、大量のシナリオが存在する。という点だ。
ツクールを上回っている部分もある。ギルドに挙がっている作品は、まず完結している。シナリオの数は十倍以上だ。
上記の理由だけでも、再生数で負ける道理はない。シナリオのプレイ動画となれば、それなりのヒット数が稼げそうだ。

――しかし、現実は違う。動画サイトを見ると「Cardwirth」は散々たるモノだ。
1000本をゆうに超えるシナリオが、作りかけのツクールに負ける現実である。
なぜか?

ヒットする動画、ヒットしない動画。二つを比較することは簡単である。
結果、Cardwirthがヒットしないのは当然、と言う結論が出る可能性も十分にある。
だが、このゲームに限っては、比較する以前の問題なのだ。
Cardwirthをプレイしているユーザーは顧みるべきだ。このフリーゲームの環境を。


 評価されない理由がある

私が語るまでもなく、先人が多くを指摘している。それも恐ろしく昔から。
DjinnさんMUSANさんロードリヴァーさん。3人のテキストリンクを用意した。
未読の方は読んでみてほしい。

いくつか、重要な点を抜粋してみよう。個々の意見だと不完全だが、まとめると素晴らしい処方箋になる。


「CardWirthをある程度知っているものは、このコミュニティーが殺伐としていることに気が付いているだろう」
もっと多くの視点・価値観をカードワースは提供すべきではないか?プロの世界のように「売れなければならない」ということは無いのであり、あくまでも「楽しんで参加する」というのが大原則なのではないだろうか?」
「そこには問題児や変わり者も存在したし、大所帯ならではの様々な問題も巻き起こったが、反面、それらはカードワースの持っていた自由な雰囲気に裏づけされた「多様性」を証明するものであった。様々な世界観・設定をもったシナリオの登場、カードワースというツールを用いてミニゲームやノベルものといったジャンルが発表されていた」
「それで自分がシナリオを作るときに意識するのは、初期の作品のように生き生きとしているか、本当に楽しんで作っているか、評価を気にして守りに入っていないか、虚栄心などが間違った方向に作用していないか。
そう自分の心に問いかけながらいつもシナリオを作っていました。
そんな自分のシナリオより、自分から見ると上っ面の技術にばかり走ったシナリオの方が、絶賛されていましたけどね(笑)」
「今発表されているシナリオにしても、馴れ合いで誉め合っていれば、一見盛りあがっているように誤魔化せるわけですよ。
カードワースには自分から見ると、そういった嘘の世界で満足できる人間が多いなと思いますね。
まあ、中には天然もいるかもしれませんが(笑)」
いつから人が真剣に作った物、善意で作った物を平気で「詰まらない、クソだ」と言って良くなったのか?
では、どうすればいいか?
「一切の評価をしない」ことがベストに思える。
「わざわざ罵倒する必要はない。凝ったもの、面白いものは取り上げる。出来の悪い物には触れない。
 作者というのは敏感だから、そうなると評価されない事自体に意味を感じる。これで十分なのだ。
 淘汰を個人の力でしようとすると偏りが出るので危険だと気付かなければならない」
「シナリオ作りにおいて一番重要なのは技術よりも魂だというのは、本来ならありきたりのことでしょう」

いちいち、ごもっともな意見である。
なかでもDjinnさんの「一切の評価をしない」という点と、ロードリヴァーさんの「嘘の世界で満足できる人間」の指摘は鋭い。

つまるところ、話によれば、カードワースは8年以上、これらが出来ていない。
原因はココなのである。ありとあらゆる筋が通っていないのだ。

もう一つだけ引用しよう。ロードリヴァーさんのエッセイに対するコメントから。
「無難さや見かけの作り込みに走る傾向と、それを空虚に賞賛する傾向。これはあたしも感じます。最近カードワースを始めて各方面を見て回らせていただいたのですが、"名作""良作"といわれる作品の中には、個人的に全く魅力を感じないものも少なくありませんでした」
これはカードワースを初めてプレイする人間にとって、もっともフラットな意見ではないだろうか?

もう一度書くが、筋が通っていない。
人間関係も、作品も、嘘と欺瞞で固められているから、内輪でしか評価されないのだ。


 消化も昇華もされてない

こんな環境で作られたシナリオだから、たいていが散々なモノになる。
望むにせよ、望まざるにせよ。悪い空気を吸ってしまい、自らの魅力をつぶしてしまった作者は多いのではないだろうか。
おれは技術派、硬派なんだ、だから一般には受けないんだ・・・・・・そういう方もいるかもしれない。
そういう方々には申し訳ないが、Wirthの作品は程度が低い。といわざるを得ない。
これは派閥の問題ではなく、昇華がまったくされていない、ということだ。
世の中にはもっともっと上手くやっている、そんな世界が山のようにある。

確かに上手い人はいた。
ただ、そのような人はCardwirthを参考にしたわけではない。TRPG、あるいは小説かもしれないが・・・・・・他のジャンルで十分な自信と技術を得て、Cardwirthで作品を発表しただけのことだ。
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