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RPGにはツキモノのトラップだが、最近はテンプレート化が進んでしまい、技術に一家言を持つグループは少なくなってきている。
最近のテンプレート・トラップとは、以下のような、
洞窟を歩いていると、突然GMからサイコロを振るように指示され、判定に成功すればトラップを回避。失敗すれば矢が飛んできたり、床に穴が開いたりする。おおよそ、こんなものが大半を占めている。
冷静に考えてみてほしい。トラップとは命のかかった重要なイベントの一つなのだ。
頭の片隅に入れておく「3つの鉄則」
では、トラップを重要なイベントと認識した上で、どうすれば娯楽に足るものに出来るのかを考えてみよう。
上手いトラップの条件を、3つあげる。
1・ユニークである
2・危険である
3・フェアである
ユニークであるというのは、罠に限らず重要である。しかし、トラップにおいては二つの意味で重要だ。
一つは罠に引っかけやすくなるということ。知らないトラップはとたんに危険度が増す。したがって、緊張感を生み出すことができる。GMも罠に引っかかる確率が上がり、思わずニンマリ。
二つめは「知的好奇心を刺激できる」と言うこと。未知の罠にだったら引っかかっても・・・・・・と言う気持ちを起こさせることで、仮に引っかかっても悔しさは和らぐし、ワナ自体のアイデアで大いに楽しめる。どう転んでもWin・Winになるというわけだ。
続いて、2番と3番である。
危険であるということと、フェアであるということは相互関係にあり、どちらに片寄っても効果を発揮しない。かといって、バランスを取ることに気を取られていては、危険な罠は作れない。
2番から説明をしていこう。危険であるということは罠の要諦である。危ないから回避するのであり、そのために盗賊をはじめとする解除要員をわざわざ用意する。危険は緊張感の源泉なのだ。危なくない、あるいはリカバリー可能なトラップは、シナリオにとって危険である。全体の緊張感を削いでしまうからだ。
かといって、一方的にデストラップに引っかけるようなシナリオでは話にならない。トラップを一つのゲームと考え、必ず何らかの解決策を用意しておかなくてはならない。3のフェアであるということは、トラップが危険であればあるほど重要性を増す。
GMはデストラップを腰を据えて考えるべきだし、逆に、教室の扉に黒板消しをセットしておく程度なら、回避させる必要はないだろう。誰か引っかけた方が「美味しい」からである。
作るコツは「ひっくりかえす」こと。
さて、具体的なトラップの作り方を説明しよう。
おすすめしたいのが「要素をひっくり返す」というやり方だ。冒頭で挙げた、典型的なトラップの例を覚えているだろうか。
これを一文づつ分解してみる。
『洞窟を歩いていると』『突然GMからサイコロを振るように指示され』『判定に成功すればトラップを回避』『失敗すれば矢が飛んできたり』『床に穴が開いたりする』
では、カギカッコの中の文を、意味を真逆にしてみよう。
『洞窟で突っ立っていると』『突然GMからサイコロを振らないよう指示され』『判定に失敗すればトラップを回避』『成功すれば矢の雨が止まったり』『天井に穴が開いたりする』
どこをひっくり返すかは個人で差があるものだから、この例と違ってもなんの問題もない。もちろん、考えうるかぎり全部ひっくり返してもオーケーだ。
人を罠にかけたがるドSのGMなら、突っ立っているだけでトラップ発動なんて最高のネタのはずだ。そうでなくても、これで罠のきっかけが掴めた人もいるかもしれない。
とにかく、コツは「細かくバラして、変えてみる」ということだと覚えておこう。
では、ひっくり返した具体例でトラップを考えてみたい。
『突っ立っていると』は作りやすい例だ。フロアに無臭の毒ガスがあるのかもしれないし、誰かが監視していて、こちらに戦闘部隊を派遣するのかもしれない。
基本、冒険者はアグレッシブに動くはずなので、突っ立たせる理由を考えなくてはならない。「回復するために待機」などは一例だ。
『突然、GMからサイコロを振らないよう指示』は、ちょっと難しいかもしれない。
たとえば、成功値が固定されると(能力値+3で判定、あるいは、サイの目が5以上だと5として数えるなど)解除できないトラップが明白になってくる。そのため、成功値に+修正を加える「何か」を探さなくてはならない――など。
『判定に失敗すればトラップを回避』は非常にユニークだ。専門職ほどドツボにハマるトラップが作れる。
おすすめなのが『一定の成功値以上だとトラップ発動、それ以下OO以上なら回避』だ。
「一流の爆弾技師がつくった時限爆弾で、プロフェッショナルの挑戦意欲をかき立てる。しかしそれはワナで―・・・」それっぽい理由付けをしよう。
『成功すれば矢の雨が止まる』これは簡単だ。すでにトラップが発動していて、道を開くために止める方法を見つけるわけだ。
ここでさらにヒネれる人は、移動するためにトラップを発動させる必要がある。なんて考えるかもしれない。当然、それはリスキーでなくてはならない。(2・危険である)
『天井に穴が開く』は、そのままとらえてもいいが、意表を突くワナと解釈した方が広がりが出てくる。
たとえば、落とし穴のトラップを解除したが、実はもう一つあって、天井が開いて硫酸が降ってきたりする。つまり、二段構えのワナなのだ。人間は上方をあまり見ないという癖があり、冒険者もわざわざ天井をつついて回らない。まさか落とし穴の真上にもう一つ罠があるとは考えないだろう。
こうしてみると、いくらでもトラップは作れるはずだ。
トラップに対するヒントの出し方
トラップを作るときは、肩肘張らず、とりあえず面白そうなのを作ってみる。回避する方法は後付けでよい。
ここで注意したいのが、回避するために必要な情報は広く散らした方がよい。ということ。トラップの近くや、塊で配置してしまうと、簡単に突破されてしまう。
ちなみに上の例は、実際のセッションですべてテスト済みであると言うことも付け加えておく。
以上、ざっと書いてみた。